瀬戸内オリーブ基金



趣意書

-美しいふるさとを次の世代に-


 わが国最大級の産業廃棄物の不法投棄事件として注目を集めた豊島事件は、ただひたすらに「豊かな島を後世に残したい」と闘ってきた島民たちの25年にもわたる運動の末、今後は隣接する島の一つである直島に処理施設を設け、廃棄物を完全に撤去・無害化するという道筋を得ました。しかし、かつての緑あふれる豊かな島を取り戻すという産廃撤去よりも困難な新たな闘いはまだ始まったばかりです。

「豊かな海」瀬戸内海は、海上交易で文化や産業を育み、一方で一万年にわたって島々や沿岸の住民に海の幸をもたらしてきた世界でも有数な閉鎖性海域です。わが国は6852もの島々からなっており、瀬戸内海にそのうちの一千ほどの島が点在しています。

 都会では経済効率が最優先され、すでに町に緑の入り込む余地がなくなりつつある現在、瀬戸内海の島々が本来もつ、海と森との絶妙な関係や自然が共存できる環境は、都会が求める経済的豊かさとは異なる価値観を与えてくれています。

 私たちはこの考えのもと、かつての緑あふれる自然の再生を目的とし、豊島及び直島から瀬戸内海周辺一帯を対象にオリーブの木をはじめとした緑化活動を行うため、内外の多くの方々に志を募ることを決意しました。

 この運動は、そこで生活する人々と共に植樹し、育てつづけることによって、一人一人が環境を守り、自然と共に生きてきた人類の原点を見直す意識を促そうとするものです。そして、大きな打撃を受けた豊島をはじめとする瀬戸内海の島々を結び、次の世代へ美しいふるさとを託すことを目的としています。多くの方々にこの趣旨をご理解いただき、ご協力いただけることを心から願っています。


呼びかけ人 中坊 公平・安藤 忠雄