瀬戸内オリーブ基金



海底ごみ目に見える化計画

瀬戸内オリーブ基金では2009年から、高松市の市民団体「海守(うみもり)さぬき会」や、香川県内の漁業関係者、環境団体、企業、市民、専門家、地元自治体などと協働し「海底ごみ目に見える化計画」を行っています。




見えていなかった海ごみ問題「海底ごみ目に見える化計画」について


海底ごみの問題は、市民の間ではあまり知られていませんでしたが、「海底ごみ目に見える化計画」が立ち上がると、その活動は、急速に市民の間に広がっていきました。活動を開始した直後の自治会関係者の反応はたいへん鈍かったため、市民への働きかけと同時に、環境省などの中央官庁や党派を超えた国会議員に対して、瀬戸内海における海底ごみ問題の重要性について認識を高めるための提言活動も行いました。この提言活動の結果、「海岸漂着物処理推進法」に海底堆積ごみも含む、という形で立法されました。
私達の活動とともに市民の間で海底ごみに対する関心が高まり、香川県では全国初の試みとして2013年5月、沿岸部と内陸部の自治体が一体となって海ごみ対策を推進する条例が施行されるまでになりました。「海底ごみ目に見える化計画」は、瀬戸内海の環境を守るために大きな役割を果たしたと言えます(→新聞記事参照)




海中海面の漂流ごみ・海岸漂着ごみ・海底堆積ごみ


日本初の国立公園であり、数えきれないほどの大小の島々で形づくられる多島海 瀬戸内海。近年「里海」と言われるようになったこのふるさとの海にあるごみの大部分は、本州・四国・九州の山々から海にかけて、いくつもの河川で結ばれた土地から流れ着いたもの。この地域の生活者が、ごみの排出責任者です。
瀬戸内海は、すべての海水が入れ替わるのに数年かかると言われるような日本最大の閉鎖性海域でもあり、そこに沈んだごみは海底に堆積され続けます。底引き網漁などをする漁業者にとって、その海底ごみ(海底堆積ごみ)はかねてより深刻な問題でした。
海底ごみは、漂着ごみ・漂流ごみなどの海ごみのなかでも特に目に付きにくいので、認識されることがなく、またその処理についても法整備の整っていない状態です。そして流域全体の生活者が、無自覚な加害者であり被害者でもあるような複雑な問題でもあります。
そこで瀬戸内オリーブ基金では、この隠れた海底ごみ問題に注目し、瀬戸内海特有の海ごみ問題である海底ごみ対する認識を拡げるための啓発普及活動を「海守さぬき会」とともに実施し、豊かな緑や海に囲まれたふるさとの再生に貢献しました。



瀬戸内海の島々を結び、次の世代へ美しいふるさとを


1990年代の豊島事件を教訓に、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会のあり方から脱却し、環境に負荷の少ない循環型社会を目指す、循環型社会形成推進基本法が2000年に制定されました。
またそこにいたるまでの豊島住民を中心とする長い戦いは、「我が国が目指すべき循環型社会の展望をひらくもの」と国の調停機関である公害等調整委員会によって、高く評価されています。
同法には、3Rとも言われるごみの発生抑制・再使用・再生利用・熱回収・適正処分の考えが取り入れられています。
瀬戸内オリーブ基金も豊島の廃棄物問題を契機として2000年に設立され、「瀬戸内海の島々を結び、次の世代へ美しいふるさとを託す」という願いのもとに、活動を続けてきました。




現在に生きる私たちに課せられた責務


2000年の「豊島宣言」では、「現在に生きる私たちすべてに課せられた責務」として「先人から受け継いだ豊かで美しいふるさと豊島、国民共有の財産である瀬戸内海を子孫に継承していくこと」がうたわれています。
2003年から始まった豊島の廃棄物撤去および原状回復という日本初の試みと、その後の豊島の人々の戦いは、10年が経過する現在もなお、解決に向けた長い道のりの途上にあります。
豊島問題の教訓とその社会的な意義をかえりみつつ、瀬戸内オリーブ基金は、今後も隠れたごみ問題である海底ごみの取り組みを続け、将来的には瀬戸内海沿岸の山・川・海にいたる総合的な自然環境保全活動につなげていきたいと考えています。

活動が紹介された新聞